ASAPサイエンスディレクター、Randy Schekman氏から患者コミュニティへの手紙
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ASAPサイエンスディレクター、Randy Schekman氏から患者コミュニティへの手紙

By Randy Schekman and Benjamin Stecher | |
Author(s)
  • randy schekman

    Randy Schekman, PhD

    Aligning Science Across Parkinson's (ASAP) | USA

    博士は、カリフォルニア大学バークレー校分子細胞生物学科の大学教授であり、ハワード・ヒューズ医学研究所の研究者でもあります。スタンフォード大学のアーサー・コーンバーグ大学院でDNA複製の酵素学を学びました。彼の現在の細胞膜への関心は、カリフォルニア大学サンデ�... Read More

  • Benjamin Stecher

    患者擁護者および著者 | Canada

    ベンジャミンは29歳の時にパーキンソン病と診断されました。その後数年にわたり、世界中を旅してこの病と今後の治療について、研究者や製薬会社のリーダ―達から知見を得ました。その後神経変性研究とアドボカシーに積極的に関わっています。パーキンソン病の80人におよぶ専�... Read More

Sergey Brin Family Foundationからの長期的なコミットメントに支えられたASAPの使命は、コラボレーションを促進し、パーキンソン病の根源をよりよく理解するためにリソースを提供し、下流の翻訳的活動を支援することです。

ASAPは、1)PD関連遺伝学の生物学、2)神経免疫相互作用、3)回路と脳-身体相互作用を含む、3つの幅広いテーマ分野に研究の努力を集中しています。この取り組みでは、予測バイオマーカーを特定し、予防的介入につながる可能性をもたらすとして、これら3つの研究領域すべてに関わる疾患の発症前の進行についても調査します。

2018年5月、このグループは、世界各国から50人を超えるパーキンソン病の専門家を招待して会議を開催し、ロードマップの方向性について話し合いました。それ以来、PD遺伝学研究を進歩させるための世界的な協働を組織する設計図が現実のものになりつつあります。2019年12月、ASAP初のリソースプロジェクトが開始されました。グローバルパーキンソン病遺伝学プログラム(GP2)は、パーキンソン病(PD)の遺伝的構造をより深く解明するため、15万人以上のボランティアの遺伝子型を同定することを目指す5年間のプログラムです。

患者代理人でGP2ワーキンググループのメンバーであるBen Stecherが2018年の会議に出席した際、ASAP議長でノーベル賞受賞者のRandy Schekmanはこの手紙を書き、パーキンソン病のコミュニティと共有するようにBenに依頼しました。

PDコミュニティの親愛なる友人の皆様、

ベンからお聞きのように、 Sergey Brin Family Foundationはパーキンソン病研究への資金提供にコミットしています。近年この取り組みは、PDがどのように発症し、脳内外に広がるかを発見するためのプログラム開発にまで及んでいます。セルゲイの母親は彼が受け継いだ遺伝子型PDを持っており、彼の前妻であるアンはPDの多数の遺伝子型を特定するために皆さんも使用したかもしれない遺伝子検査サービス23andMe社に深く関わっています。セルゲイは、私たち全員に関わるこの病気の根治の支援に尽力しています。

私は基礎研究者で、細胞が特定のタンパク質分子の製造と運搬の仕組みの解明にキャリアを捧げてきました。ブリン家を苦しめるPDの少なくとも1つの遺伝子型が、私の研究室が約40年前に発見したタンパク質に作用する酵素を標的にしていることがわかりました。基礎研究には、臨床治療に最終的につながる自然の秘密を解明する力があります。

44年連れ添った妻は20年以上PDに苦しんだ末に亡くなり、私とPDとのつながりはさらに個人的なものになりました。

昨年妻が亡くなった後、Bayshore Global ManagementのCEOであるGeorge Pavlov氏から、PD研究を支援する資金調達メカニズムを検討する委員会の長を務めるよう求められ、私は悲しみを前向きな力に変える機会に飛びつきました。最近ベンを含め、主要な脳科学者とPD科学者、患者代理人による重要な会議が開かれました。そこでは、この重要な課題の今後の最優先事項について話し合い、議論をしました。病気の初期症状進行の多様な方向性、PD進行における遺伝学、免疫系、脳内ネットワークの役割をレビューしました。今後数か月にわたり、主要な資金提供機関と会い、最も重要な研究目標を定義するためのブリン財団の取り組み設計図と、有意義な進歩を遂げるための共同作業を組織する方法を計画します。

私はこのプログラムに取り組み、同僚と共に基礎科学の力を活用して、より効果的な治療法を開発し、最終的にPDの惨劇を根治するために必要な洞察を発見することを約束します。それまでの間、PDの進行を遅らせることが知られている心身の習慣に注意を払ってください。これらの習慣には、栄養価の高い食事、定期的な運動、他者との読書やコミュニケーションによって脳を刺激する積極的な取り組みなどがあります。

今後とも努力をしてまいりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

Randy Schekman
University Professor
University of California, Berkeley
Chair, Aligning Science Across Parkinson’s (ASAP) Initiative

これはAlberto Espay & Benjamin StecherによるBrain Fablesから編集、抜粋されたものです。