黒人歴史月間スポットライト:BLAAC PDの振り返りと期待

2月 8, 2024

Naomi Louie より

米国では毎年2月は黒人歴史月間とされており、黒人コミュニティの貢献と功績を称えます。1926年、著名な歴史家カーター・G・ウッドソンによって、黒人アメリカ人が歴史の中で果たした重要な役割に関する調査や研究を奨励するための1週間として始まりました。彼が2月を選んだのは、アメリカの黒人史にとって重要な2人の人物 ―― 奴隷制度廃止論者として有名なフレデリック・ダグラスと、政府公認だった奴隷制度を廃止した大統領として知られる大統領エイブラハム・リンカーン ―― の誕生日と重なるためです。黒人歴史月間は1976年からアメリカ政府によって正式に認められ、その後カナダ、イギリス、ドイツ、フランスなど、世界各国が1か月間にわたり黒人の歴史を祝います。

 米国での痛ましい歴史を受け、長い間、研究は黒人とアフリカ系アメリカ人のコミュニティには貢献してきませんでした。1932年から1972年のタスキージ梅毒研究や、1951年のヘンリエッタ・ラックスの細胞を同意なしに複製して使用した例のように、過去の研究がコミュニティや特定のコミュニティ内の人々を非道徳的に利用していた間、多くの研究で参加者の多様性が欠落していました。研究全体の変化のため、多様なコミュニティを研究に招待し、関与させようとする意図的な努力を行っています。GP2は、黒人およびアフリカ系アメリカ人コミュニティが抱える問題と研究の歴史的欠落を認識しており、2021年にBlack and African American Connections to Parkinson’s Disease(BLAAC PD )研究を通じて、米国内の多様な黒人およびアフリカ系アメリカ人人口群が正しく反映されるための献身的な取り組みを開始しました。黒人歴史月間では、学んだことを振り返り、BLAAC PDの今後を見ていきます。

2023年の学び

この1年はBLAAC PDチームにとって、4つの初のパイロットサイトで募集を続け、2023年頭にフロリダ州ゲインズビルとルイジアナ州シュリーブポートの2つの新しいサイトを追加し、多くの学びがありました。これまであまり研究されてこなかった他のコミュニティと同様、黒人やアフリカ系アメリカ人のコミュニティと関わるには、コミュニティ、文化、固有の特性、そしてこれらが研究採用戦略への対応や相互作用にどのように役立つかをよりよく理解しようとする、真摯な意図が必要です。2023年の調査では、6つのサイト全体で228人が登録し、2021年以降に募集した参加者の合計は461人となりました。1年を通して多くの学びが得られました。 

今年の最大の成功の一つは、ルイジアナ州シュリーブポートのルイジアナ州立大学(LSU)健康科学センターです。BLAAC PDのコミュニティ・エンゲージメントのための資金を使って、チームはヘルスフェアやその他のコミュニティ・イベントに参加を始めました。これらのイベントでの一貫した存在感はコミュニティ内で信頼を集め始め、熱心な研究コーディネータはパーキンソン病に関するより多くの情報を共有するだけでなく、多くの健康な対照群ボランティアがBLAAC PDに申し込むように動機づけました。10カ月足らずでLSUは2023年の募集総人数の半分以上にあたる124名の参加者の登録に成功しました。 

今年は特に大変でした。多くのサイトで、スタッフの離職率が例年に比べて高くなりました。複数の研究に時間が分散されると、研究コーディネーターにとって優先順位がつけられなくなる場合があります。複数の拠点を通じて、複数の研究にコーディネーターが分散するのではなく、研究に専任のリードコーディネーターを置くことで、大きな違いが生まれました。研究の専任リーダーが、募集の一貫性をサポートします。また、誰が研究の追加責任を持つのか、誰がトレーニングやオンボーディングを受ける必要があるのかなど、スタッフを出発前に準備し、モーメンタムの喪失を緩和するための重要なステップをこなすことがいかに重要かを学びました。

科学的拡張

昨年はPD分野で大きな発見があった年でした。BLAAC PDの拡大に伴い、近年の科学的発見とともに私たちも成長することも目指しています。2023年、MJFFとその画期的な臨床研究、パーキンソン・プログレッション・マーカー・イニシアティブ(PPMI)が主導する科学者の国際連合は、病気の根底にある病態を検出できる新しいツール、脳細胞と体細胞の異常α-シヌクレインを発見しました。このツール、α-シヌクレインシード増幅アッセイのおかげで研究者は、α-シヌクレインの生物学的変化が生きたヒトで発生することを始めて確認することに成功し、新しい治療法の発見に大きな前進となりました。この科学者の国際連合は、嗅覚喪失とα-シヌクレインシード増幅アッセイ陽性のより高い可能性との相関関係なども報告しました。BLAAC PDは、嗅覚検査をプロトコールに含めることで、多様な祖先からのパーキンソン病の根本的な病態の理解に貢献します。 

2023年に発表されたもう一つの大きな発見はGBA1リスクバリアントの発見で、ナイジェリアPDリサーチネットワーク、IPDGCアフリカ、BLAAC PDのデータを組み合わせて分析することで実現しました。GBA1と認知のつながりにより、BLAAC PDは将来の参加者の認知力を評価するための適切な手段を意図的に模索しています。この研究では、複数の研究や祖先に関わる評価能力、その他の重要な事項を考慮して、認知力を評価する次のステップを決定するために、今後数ヶ月以内に主要なリーダーや関係者と会議を開く予定です。この科学的拡張によってGBA1リスクバリアントの理解が深まり、黒人とアフリカ系アメリカ人の人口群に有効な将来のPD療法の開発が進むことが期待されます。

サイト拡張

2021年6月に最初のサイトが開始されて以来、4サイトの試験運用から始まったこのサイトは、2023年には計6サイトに拡大し、2024年1月時点で合計461人の参加者が登録しています。しかし、2026年までに2000人の参加者を募るという目標に到達するのはまだ先です。2023年、BLAAC PDチームは、採用目標を達成するために劇的に拡大することを目標に設定しました。規模を倍増し、アクティブサイトを6から12に増やしました。 

数か月努力を続けた結果、以下の6つのサイトが正式に選定されました:サウスカロライナ医科大学、オックスナーヘルス、大学病院クリーブランド医療センター、メリーランド大学、UT Health ヒューストン、セントルイスのワシントン大学。 

今回の拡張により、BLAAC PDが以下の4つの州に追加されました:テキサス州、ミズーリ州、オハイオ州、サウスカロライナ州。BLAAC PDがアメリカ中西部と南部の州に拡大し、アメリカ在住の黒人とアフリカ系アメリカ人の人口群多様性を表すとともに、採用が大幅に増加することが期待されます。移民パターンと黒人ディアスポラのため、黒人とアフリカ系アメリカ人のコミュニティは場所によって異なります。例えば、テキサス州ヒューストンの新しいBLAAC PDサイトでは、黒人やアフリカ系アメリカ人のコミュニティの多くがアフロ・ラテン系であり、英語が流暢でない可能性があるため、スペイン語の文書が必要であると認識しています。同様に、ルイジアナ州ニューオーリンズのアフロ・カリブ系コミュニティは、私たちが作成した文書に異なる反応を示す可能性があります。今年まで、BLAAC PDは英語の資料しか開発しておらず、ほとんどのサイトで同じ資料が使われていましたが、これらのニーズと機会が特定されたことで、より確実な研究となり、米国内の多様な黒人とアフリカ系アメリカ人の人口群を正しく反映するものになることを望んでいます。

前を向いて

2024年以降の計画を立てていると、やるべきことがたくさんあることがわかります。しかし、これまで目にした成長、科学的に対応する機会、そして開始を待ちきれない新しいサイトへの意欲を感じ、活力を得ています。昨年はたくさんの学びや発見がありました。今年もきっとそうなると思います。 

J Solle、Alyssa O’Grady、Dema Hakim、Serena Fongがブログ作成に協力してくれました。みなさんの貢献を本当に感謝しています。

著者に会う

Senior Clinical Operations Specialist

Naomi Louie、MPH

Michael J. Fox Foundation for Parkinson's Research | Bellevue、USA