遺伝的要素について知る
パーキンソン病の構造

グローバルパーキンソン病遺伝学プログラム(GP2)は、パーキンソン病(PD)の遺伝的構造をさらに理解するために、世界で15万人を超えるボランティアの遺伝子型決定する野心的なプログラムです。遺伝的リスク因子について解明されていないことが多く、共同研究そしてデータ、プロセス、結果共有を開放的に行うことが必須となります。

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PDの多祖先GWAS

February 2, 2024
パーキンソン病(PD)は広範な遺伝子研究の焦点となっています。研究者は、PDの発症リスクに影響を与える可能性のある90以上の遺伝的変異を同定し、これが多くの分子経路が関与する複雑な疾患であることを明らかにしました。  しかし、より広い視野で見ると、PD建久はヨーロッパの祖全に焦点を当てた物が主要であり、遺伝的多様性が欠如しているため、PD研究の世界的な取り組みは進展しませんでした。どのPD遺伝子変異に起因する可能性が高いでしょうか?集団間で臨床的に有意と思われるバリアントはどれでしょうか?これらの質問に答えるには、祖先のより多様なデータが必要です。  グローバルなコラボレーション:多様な祖先と広いスケール Nature Geneticsで発表された新しい共同研究は、PDの遺伝的ランドスケープをより包括的かつグローバルに理解するものです。この研究は、グローバルパーキンソン病遺伝子プログラム(GP2)が主導する世界規模のコラボレーションとデータ共有の取り組みによるところが大きく、この種の研究としては最大規模かつ最も多様性があります。この研究では、PDを持つ49,049人、両親がPDを持つまたは持っていた18,785人、およびヨーロッパ、東アジア、ラテンアメリカ、アフリカの祖先の神経学的に健康な200万人以上のデータを分析しています。  NIH、GP2、23andMeの研究者と、米国、英国、ペルー、シンガポールの共同研究者は、FinnGen、23andMe、UK Biobank、およびその他のオープンアクセスのデータリポジトリから、この祖先的に多様性をもつデータをキュレーションしました。このデータにより、PDと有意に関連のある78の領域(遺伝子座)を特定しました。  複数の異なる祖先グループのデータを分析するには固有の課題がありますが、多様化するデータを活用する新しいソフトウェアや分析ツールが登場しています。これらのツールとグローバルなコラボレーションのおかげで、研究者は複数の祖先グループについてPDリスクと有意に関連のある遺伝子領域を特定できるようになりました。このような領域は因果的変種を含む可能性が高くなります。  研究では、研究者らは多祖先ゲノムワイド関連(GWAS)メタアナリシスと呼ばれるアプローチを使いました。GWASは、多くの人のゲノムを調査する手法で、特定の疾患を持つ人と持たない人を比較して、特定の疾患を持つ人に高頻度で発生する特定の配列バリアント(「遺伝子座」)を探します。研究チームは、以前に公開されたGWASと多様なデータリポジトリからデータを集め、PDの遺伝的リスク要因の探索に統計学の威力と強靭性を加えました。  ヨーロッパ以外の人口群のデータを含めることによって、研究者はそれまでヨーロッパから派生した人口群だけに焦点を当てていた時には観察されなかった多くの新しい遺伝子座を同定することができました。本研究で同定された78のPD遺伝子座の大半は既にPDと関連のある領域と一致しますが、そのうちの12は新規である可能性があります。新規の遺伝子座は、タンパク質の分解や代謝、ミトコンドリアの活動制御、脳内の免疫応答などに役立つ遺伝子が関与しているようです。  同定された遺伝子座のほとんどは、ヨーロッパの人口群を含む研究されたすべての祖先にわたってPDリスクと有意に関連していました。この結果は、PDを引き起こす可能性のある多くの経路が集団間で共有されていることを示唆しています。  個別化医療に向けて:ファインマッピングと機能的意義 研究者はまた、ファインマッピングと呼ばれるプロセスで、同定した遺伝子座の少なくとも6つ以内に特定の因果的遺伝的変異を特定することができました。ファインマッピングは、各遺伝子座内の特定のバリアントのどれが、特定の人口群における疾病リスクに関与しているかを推定します。  Learner Research Instituteの科学者、Cleveland Clinic Learner College of Medicineの分子医学助教授で、この研究の著者である イグナシオ・ナチョ・ マタ氏は、「GWASの課題の1つは、同定された遺伝子座で、どの特定の変異が機能的変異なのか、因果関係のある変異なのかがわからないことである」「GWASのヒット、または疾患と有意に関連するゲノムの領域では、何百もの潜在的な変異候補が存在する可能性がある」と話しています。   ​重要なGWAS遺伝子座における機能バリアントの同定と遺伝子発現への影響は、PDの追跡調査と標的治療薬の開発の鍵となります。  ナチョ氏はまた、「先祖伝来の多様なデータセットを組み込むことで、同定した遺伝子座の一部の機能バリアントを絞り込むことができた」「先祖伝来の多様なデータを使って、たとえば母集団に固有の潜在的変異種を特定できたり、異なる母集団間で有意である、したがって重要な因果的危険因子である可能性が高い変異種を特定できる」と話しています。  同定された遺伝子座のいくつかは、異なる集団間で異なる影響を示し、祖先固有の危険因子を掘り下げる遺伝学研究の重要性が浮き彫りになりました。ラテンアメリカとアフリカの人口群のみで見つかった2つの遺伝子座は、JAK1とHS1BP3遺伝子の近くにありました。これらの遺伝子はどちらも炎症シグナルに関与しており、PDにおける炎症の役割に関わっている可能性があります。  示唆と今後の方向性 この研究結果は、遺伝子研究に多様な祖先を含めることの重要性を強調しています。包括性は、遺伝的リスク予測の精度を高め、個別化治療の発展を促進します。GP2は、あまり研究されてこなかった人口群と協力する機関と提携し、世界中で不足しているコミュニティのデータを生成しています。  ナチョ氏は、「世界中の人々が協力し、互いに学び合っていた」「私にとって、この共同研究は、研究と将来の可能性について一番本当ワクワクさせられるものだ」と語りました。  この研究で特定された遺伝子座がPD経路や疾患発現にどのような影響を与えるかを確認するため、さらなる研究が必要です。しかし、この取り組みは今後の研究の基礎となる強固な基盤となります。 …

GP2第6回データリリースの内容

February 2, 2024
概要 2023年12月、GP2はAMP®PDと共同でTerraとVerily®Workbenchプラットフォームに関する6回目のデータリリースを発表しました。このリリースには、2万人以上の新たな複合疾患の参加者が追加され、複合・モノジェニックネットワークからのこれまでリリースに追加されました。 複合疾患データ(遺伝子型)は現在、計44831人の遺伝子型同定参加者(PD24709人、対照群17246人、その他2876人)で構成されています。 局所的に制限されたサンプルを削除すると、33,436(17,129のPD事例、13,872の対照群、2,435の「その他」表現型)で構成されます。 モノジェニック疾患データ(全ゲノム配列)は現在、計2,324人のシーケンス参加者(PD症例1,854人、対照群314人 、 「 その他」の表現型156人)で構成されています。 局所的に制限されたサンプルを削除すると、2,083(PD事例1,650、コントロール309 、 「 その他」表現型124)で構成されます 詳しい臨床表現型情報を持つ12,585人は、遺伝情報が一致します このリリースの新内容 追加の複合疾患(遺伝子型)およびモノジェニック疾患(全ゲノム)サンプル Verily Viewpoint Workbenchによる局所的に制限されたGDPRサンプルの紹介 約12,000人の臨床データを紹介 新しい祖先グループの導入→複合混合履歴(CAH) 公開されたジェノタイピングデータの品質管理措置の更新 公開されたジェノタイピングデータの品質管理措置の更新 品質管理におけるアップデート まとめると、GenoTools(v1.0.0)では、性別不一致、コールレートプルーニング、重複チェック、関連個体のチェックと報告、ヘテロ接合率チェックといった品質管理手順が実行されます。  以前のリリースとは対照的に、マイナー対立遺伝子頻度(MAF) 、 Hardy-Weinberg(HWE) 、 マイナー対立遺伝子数(MAC)によるバリアントレベルのフィルタリングは行われなくなりました。以前のリリースでの方法をフィルタリングしたい場合は、対応するREADMEで詳細な情報と推奨されるしきい値を調べることをお勧めします。  Complex…

ブレイクスルー賞2024年 - アンディ・シングルトン、トーマス・ガッサー、エレン・シドランスキーのインタビュー

February 2, 2024
昨年9月14日、ブレイクスルー賞財団は、2024年の生命科学ブレイクスルー賞の3人の受賞者として、アンドリュー・シングルトン、トーマス・ガッサー、エレン・シドランスキーを発表しました。「科学のアカデミー賞」として知られるブレークスルー賞は、「インパクトのある科学的発見をした世界で最も優秀な頭脳を表彰する」ものです。  あなたの経歴について教えてください。どのようにしてパーキンソン病・ADRD・認知症の遺伝学研究への道を見つけましたか?  アンディ:私はガーンジー島という小さな島で生まれ育ちました。会計士として失敗し失意の中で一年間を過ごした後、サンダーランド大学で応用生理学を学びました。その間、主に認知症の遺伝学に関する研究室で1年間働いきました。その研究室に戻り、再びアルツハイマー病とレビー体型認知症の遺伝学に関する博士号を取得しました。その後、アメリカに移り、マヨ・クリニックのジョン・ハーディに師事しパーキンソン病の研究をしました。  トム:医学を学び始めた最初の頃から研究の道に進みたいと思っていました。最初は薬理学の学生で、抗がん剤を研究していましたが、臨床研修中に神経学と神経科学への関心が高まりました。パーキンソン病を研究していたヴォルフガング・エルテル氏のグループで、ミュンヘンの神経科研修医として偶然最初の仕事を見つけました。  エレン:父が学術病理学者だったので、私は幼い頃から研究に触れていました。大学では博士課程と医学部で迷っていましたが、医学部でのさまざまなローテーションの中で、医学の臨床的側面に夢中になりました。小児科を選びましたが、研究プロジェクトを行う時間を取りました。最終的に、医学遺伝学のトレーニングを受けるためにNIHに来ました。グルコセレブロシダーゼ遺伝子をクローニングしたばかりのエドワード・ギンズ氏の研究室で働き始めました。まず、ゴーシェ病の多様な患者を研究し、関連する臨床的不均一性の分子的原因の特定に努めました。私が診た患者の中には、ゴーシェ病とパーキンソン病の両方を患う患者さんがいました。それがこの分野に入ったきっかけで、今に至っています。小児科医としてのキャリアでパーキンソン病に取り組むことになるとは夢にも思っていませんでした。  これまでのキャリアの中で、パーキンソン病に対する理解や概念において、あなたが観察した最大の変化は何ですか?この病気についてのご自身の理解や考え方は、時間の経過とともにどう変化しましたか?  アンディ:課題はたくさんあると思います。特に関心を持っているのは、パーキンソン病に見られる差異の根拠を理解することです。なぜ患者によってこんなに進行が違うのかです。  トム:最初の頃は、ドーパミン欠乏症と、この神経伝達物質をどう置換するかばかりを考えていました。今日、ドーパミン欠乏症はさまざまな病理学的プロセスのかなり下流にあることがわかっており、根本の原因となる治療への道を切り開くため、これらのプロセスへの関心が高まっています。  エレン:パーキンソン病の病態生理学については現在さらに多くのことが知られていますが、道のりはまだ長いです。遺伝子の進歩により、リソソームの役割に注目が集まり、さらなる開発のための新しい治療標的が導入されたことを嬉しく思います。ゴーシェ中心のアプローチから、なぜゴーシェ病またはGBA1変異保有者の患者のごく少数がパーキンソン病を発症するのかに注目しています。さらなるリスクや保護をもたらす重要な要因が他にもあるはずです。  パーキンソン病に関する重要な遺伝子を発見したことでブレークスルー賞を受賞されました。この賞はあなたにとってどのような意味がありますか?受賞を知ったとき、どう感じましたか?  アンディ:長い間現実とは思えなかったんですが、、、もちろんとてもうれしいです!他の方もそうかもしれませんが、私は注目されるのが苦手で、時々圧倒されることもありますが、、、でもそれは悪いことではありません!  トム:アンディと同じく、とてもうれしいです!長年にわたり、多くの研究者がパーキンソン病の遺伝学を研究し、素晴らしい成果を出してきたことも実感しています。この賞は、この分野全体に対する表彰だと思います。  エレン:受賞を知ってとても驚きました。私のようにキャリア全てを希少疾患の研究に費やしてきた者にとって、このような受賞は信じられません。初めの頃、グルコセレブロシダーゼの始まりの話を出版してもらうのに苦労しました。この評価が希少疾患研究の価値を裏付けていることを嬉しく思います。希少疾患のある患者さんには、私たちのサポートが必要です。これらの疾患は基礎生物学について多くのことを教えてくれるし、今回もそうであるように、より一般的な疾患について独自の洞察を与えてくれます。  この発見でブレイクスルー賞を受賞した主な遺伝子と関連遺伝子変異について詳しく教えてください。これらの遺伝子や変異について、お気に入りの面白い事実や、もっと多くの人に知ってもらいたいことがありますか?  アンディ:基本的に、これはパーキンソン病の原因としてLRRK2変異が発見されたこと、そしてP.G2019の変異が非常に一般的であることを示すその後の研究に対する認識です。お気に入りの事実は、私たちが本質的に配列決定していた「トランスクリプト」が「DKFZP434H2111」と呼ばれていたことです。その名前は忘れがたいです、、、 トム:いくつかの家系で突然変異を同定した際、脳内の遺伝子発現を調べたところ、黒質での発現がなぜか低いことが判明しました。アンディと彼のチームが同じ遺伝子を同定したと聞くまで、これが本当に正しい遺伝子かどうか多くの疑問がありました。  エレン:私は30年以上にわたり、自分の遺伝子であるGBA1に焦点を当ててきました。すぐ近くに偽遺伝子と呼ばれる非常によく似たコピーがあります。この余分な配列は、第一染色体のこの領域でのゲノム解析を複雑にしています。多くの場合、研究者は2つのシーケンスのバリアントを混同してきました。  2024年の生命科学ブレイクスルー賞を受賞した重要な遺伝子に関する研究に関連して、特に鮮明な思い出はありますか?鍵となった瞬間について教えてください。  アンディ:ニック・ウッド、ジョルディ・ペレス・トゥール、ホセ・フェリックス・マルティ・マッソ、そして私が力を合わせて突然変異を探そうと決めた時の電話など、多くの瞬間を覚えています。2人の素晴らしい大学院生、コロ・パイサン・ルイスとシュシャント・ジャインと一緒に働き、大西洋のこちら側と向こう側で朝夕にシーケンシングの結果を共有できたことは楽しかったです。バスクの家族が遠い親戚であることが理解でき、研究していた重要なインターバルが一気に狭まりました。マーク・クックソンとジョン・ハーディと潜在機能について話したことや、、、良い思い出がたくさんあります。 トム:ジグ・ウゾレックがネブラスカ州で特定した家族の遺伝子を追いかけていたとき、解剖されたこの家族の方々がレビー小体など実際には異なる病状を患っていたりいなかったりしたことが判明し、プロジェクトをほとんど放棄したことを鮮明に覚えています。そのため、同じ家族であっても、人によっては同じ病気にかかっていないのではないかと心配しました。実際、彼らは遺伝的には同じ病気にかかっていても、病状が異なり、これは未解決の難問です。  エレン:ゴーシェ病とパーキンソン病の両方を患う患者を対象とした18人の患者について発表した後、当時MGMの主任神経病理学研究員だった元学生のキャシー・ニューウェルから電話がありました。彼女はパーキンソン病の患者の解剖をしていて、カルテには彼もゴーシェ病にかかっていると書かれていました。彼女は私に解剖のサンプルが欲しいかどうか聞いてきました。もちろん希望しましたが同時に、パーキンソン病のサンプルが他にもないか聞きました。3つのサンプルがドライアイスと共に届きましたが、ラベルを読むことができませんでした。そこで、グルコセレブロシダーゼ活性を測定してDNAを抽出し、2つのパーキンソン病の「コントロール」にGBA1変異があることを確認しました!これはすごい瞬間でした!  パーキンソン病の遺伝学の分野と研究活動は今後どうなると思いますか?  アンディ:グローバルパーキンソン病遺伝学プログラム(GP2)が、その未来に大きく貢献すると思います。世界中の患者や研究者を巻き込んで取り組みを多様化することが重要です。GP2はまた、熟練した研究者を支援し、成長の機会を与えます。GP2はまさに過去20年間の経験の集大成です。やる気のある素晴らしい研究者のグループと一緒に仕事ができれば、大きな成果を生むことができるということを理解することが重要です。  トム:私たちは今、遺伝的に層別化されたパーキンソン病患者を対象とした最初の有望な治療試験を実施していますが、これはまさに私たちの遺伝的発見に基づいています。今でも多くのパーキンソン病患者を診察している神経科医の私にとって、これは非常にエキサイティングなことです!  エレン:遺伝学の研究は、パーキンソン病の病因に関与する新しい経路の認識につながっています。これらは治療薬開発の新たな目標となり、医薬品開発を加速させる可能性があります。  コラボレーションとチームワークは、あなたの仕事や発見にどのように役立ちましたか?  アンディ:あらゆる所で役立ちました。現在、遺伝学は完全に協調的で、私たちが行っているのまさに「チームサイエンス」です。 非常にやりがいがあります! トム:私たちがパーキンソン病の家族を対象に研究を始めたときとは対照的に、遺伝学は今では非常に協力的な取り組みで、おそらく他の多くの生物医学研究分野よりもそうでしょう。  エレン:遺伝学ではコラボレーションは絶対に不可欠です。NEJMにおけるパーキンソン病におけるGBA1変異に関する国際共同研究が、この知見が広く受け入れられるに至ったのも、そのおかげです。遺伝子改変因子を探し求めている今、私たちは力を合わせて、病気の浸透に影響を与える他の要因を特定する力を得る必要があります。…

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